PoPo2025秋号
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と   12 PoPo語ってくれた方代表取締役社長加 藤 茂 裕 さん健 康 推 進 メンバ ーの み な さ ん 健康を意識し始めたのは40代頃です。それまでは学生時代から体を動かすことが好きで、特に意識せずとも自然と健康を保っていました。健康診断でも大きな問題はなく、無自覚に健康な状態でしたね。 そんな中、海外工場建設のプロジェクトでチェコに駐在していた時期がありました。冬は非常に寒く、外で運動する代わりにジムに通い、サウナで汗を流し、ビールを楽しむ生活を続けていたところ、痛風を発症してしまって…。この経験を通して、 経営の立場になってからは、従業員の健康についても深く考えるようになりました。弊社の基本理念にある「人命を第一とし、働く人の安全の確保と健康に配慮した職場環境の実現を目指す」という考えのもと、健康経営は企業の根幹に関わる重要な取り組みだと捉えています。建設業は、どれだけ技術が進化しても、最前線で働くのは“人”。だからこそ、健康経営への関心は、自身の経験から自然に生まれました。 従業員一人ひとりが自分の健康を“自分ごと”として捉えることが、当社の健康経営で最も大切にしている視点です。そのための取り組みのひとつが「健康チャレンジ8」。一定の定着は見られるものの、今後はより楽しく参加できるよう、イベント的な仕掛けも検討しています。 健康状態の“見える化”にも取り組んでおり、健康診断やストレスチェックの結果を一元管理。社員はいつでも自分の状態を確認でき、管理側もリアルタイムで状況を把握して組織全体の健康づくりに役立てています。 また、建設業特有の多様な働き方に対応するため、eラーニングを導入しました。各自のペースで健康知識を学べる仕組みとして活用しています。 さらに、今年4月からは敷地内を全面禁煙に。ここ数年で喫煙率が下がってきたことも追い風となり、健康意識の定着に向けて取り組みを続けています。 建設業という業界は、社員だけでなく協力会社や職人さん、そのご家族まで含めて裾野が非常に広い世界です。そのため、「健康に気をつけましょう」と一言で言っても、実際には一筋縄ではいきません。例えば、現場には体調不良でも無理して出てくる人もいれば、「健康は自分の問題だから、健診なんて受けなくていい」と考える人も残念ながらいらっしゃいます。こうした気質の中で、「みんなで健康に取り組もう」という文化を根付かせることが大きな課題だと考えています。現場はチームで動いているため、誰か一人の体調不良がすぐに全体の作業に影響を及ぼします。このため、日々のわずかな体調の変化にも気づける体制づくりが、より求められています。  かつての「一生この会社で働く」という価値観は変わりつつあります。若手の従業員には、安全と健康を基盤にしながら、自分のキャリアや働き方を主体的に考え、長く活躍できる力を身につけてほしいと考えています。一方で、ベテラン層には、これまで培った経験と知見を活かしつつ、健康管理をしっかり行い、無理なく長く活躍し続けていただきたいと思います。 若手もベテランも、安全と健康が土台にあってこそ力を発揮できるのは間違いありません。従業員一人ひとりが健康でいきいきと働ける環境づくりを、これからも進めていきます。「健康は意識して守るものだ」と実感しました。健康経営への関心はどのようなきっかけから生まれましたか?具体的な取り組みをお聞かせください。健康経営を進める上で難しいと感じることはありますか。社員の健康と働き方について、今後どのように向き合っていこうとお考えですか。技術の先にいるのは人。健康を基盤に未来を築くトヨタ T&S 建設株式会社愛知県豊田市 従業員数427名

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