PoPo2025新春号
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<森井 大輝さんプロフィール>1980年生まれ、東京都あきる野市出身。4歳からスキーを始める。高校2年生のときに交通事故で脊髄を損傷し、長野1998パラリンピックを病室で見てチェアスキーを開始。2002年のソルトレークシティパラリンピックから5大会出場し、銀メダルを4度、銅メダルを1度獲得している。トヨタ自動車株式会社パラアルペンスキー森井大輝さんインタビュー そうですね。体幹は強いと思います。ただ、身体的にできることに限界があるので、特に意識しているのは「姿勢」です。車いすのシートは高めが一般的ですが、私は日常生活で車いすのシートをわざと低くしています。あえてバランスの悪い車いすに乗り、自分の体でバランスをコントロールすることで、日常的に体幹を鍛え続けているのです。ドローインという、お腹を凹ませて体幹部の筋肉を鍛えるトレーニングがありますが、息を吐いて腹筋を固め、ニュートラルな姿勢を維持することが大切です。 通常、チェアスキーに乗れるようになるまでに1〜2年かかると言われていますが、私は初日から乗ることができました。1本目は何度も転びましたが、2本目は腰を使って普通にターンができましたね。長野パラリンピックの金メダリストや全日本クラスの選手の方が教えに来てくれたのですが、びっくりされるほどでした。適性があって国内大会では表彰台にあがることができましたが、海外に行くと選手のレベルがとても高かった。自分が井の中の蛙だったことを思い知らされました。いたのは、2002年のソルトレークシティパラリンピックでした。身体の軸を鍛えなければと強く思い、そこからトレーニング方法をガラリと変えて肉体改造を始めました。ただ、パラアスリートは何かしらのリスクや不安を抱えてトレーニングや競技に向き合っています。激しいトレーニングができない場合もあるので、生活の中に負荷のかかるトレーニングを取り入れ、毎日コツコツと続けることを意識しています。ングや食事管理をして、「自分の体が変わってきたな」と成一本のスキー板に備え付けられた椅子に座り、雪上を滑るチェアスキー選手・森井大輝さん。トップ選手として活躍し続けるために、日々体幹を鍛えています。日ごろから体幹を意識していますか。体幹を鍛えるようになったきっかけは。運動を続ける秘訣を教えてください。果を感じるのが楽しいです。なので、できるだけログに残すなど、「見える化」を心がけていますね。数字で見える化をすると、やる気が変わってくるのでおすすめですよ。 また、ランニングなど、最初は短時間でも毎週月・水・金で運動をして、火・木は身体を休ませる。慣れてきたら、徐々に負荷を増やしていくのがいいと思います。 体幹トレーニングを続けて姿勢が良くなると、自信がつきます。猫背よりも、胸を張って姿勢がきれいな状態の方が、いろいろなことに積極的に取り組めますよね。私の場合は体幹を鍛えることでメンタルが整い、物事を前向きに考えられるというメリットもありました。 体幹を鍛えて姿勢をきれいに保つと、見た目がきれいになって周りからの印象がアップするのはもちろん、腸の動きが活発になり、排便にも良い効果があるなどプラスに働くことが多いです。本格的な体幹トレーニングをするのが難しい人は、まずは椅子に座るときに背もたれに寄りかからず、ドローインで少しお腹に力を入れ、きれいな姿勢のまま過ごしてみてください。 運動はいきなり始めるのではなく、少しずつ積み重ねることが大切です。1ヶ月に1度、3時間走っただけでは積み重ねとは言えません。例えば、最初は15分のウォーキングから始めて、30分、45分、1時間と少しずつ体を動かす時間を増やしていく。それが難しければ、「近くのコンビニまで歩いて行ってみよう」、歩数計を見て「今日は何歩歩いたな」と気にすることから始めるのも良いと思います。短時間からでも体を動かすことを積み重ねて、自分の体の変化を感じてみてください! 「体幹が強くなければうまく滑ることができない」と気づ 「変化を楽しむこと」が大切だと思います。私はトレーニ 体幹を鍛えると、他にも良い影響はありますか。組合員のみなさんにメッセージをお願いします。体幹アスリート

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